タイミング

先日お話したサスペンションマウントでもあるライダーの体によって、フロントサスペンションの高速側のコンプレッション側設定値の限界が決まるというお話の続きです。
ストラットタワーバーを例にお話ししましたが、車と大きく異なる点はそのサスペンションマウントであるライダーの肉体が更にサスペンションの役目ができるという点。
難しい話ではありません。既に肘・上腕・背筋・腰・膝を使って衝撃を緩和しているはずです。
巧い方との大きな違いは、そのアクションを実行するタイミング。たくさんのライダーを観察してきた結論です。
どのラインがそのセクションを最速で抜け出すことができるのか、ライダーはフロントサスペンションに外乱が入力される前から準備を始めています。
視覚情報が脳へ伝達
① 行動が決定され
② 命令が神経を介し担当部位へ
その結果、適切なアクションが実施されます。
簡単に書いてありますが、実際には体の移動量や力の入れ具合など複数の細かな命令が処理されています。
もうお分かりですね。反応速度と処理に要する時間があるため、必要なタイミングよりもわずかに遅れ気味になっています。
経験によって、脳からの命令がテンプレート化され、その処理に要する時間は短くすることができます。
しかしアクションと入力されるタイミングをジャストミートさせる経験を成功例として知らない脳は、従来のタイミングで体を動かします。
クリアはできているのだけれど、どうもうまい人と比較すると違うような感じがする原因はここにあります。
その解決方法です。
インジケーターOリングをダストワイパーのところまで一杯に下げておきます。
改善の対象としたいコースのポイントを完全にコントロールできる速度で走行してください。
フロントサスペンションのインジケーターOリングがどこまで動いたのかを確認してください。
予め行う作業内容を頭の中で復唱します。
意図的にいつものタイミングよりもわずかに早いと思われるポイントで必要なアクションを行ってください。
物凄い違和感があったはずです。フロントサスペンションのインジケーターOリングがどこまで動いたのかを確認してください。
タイミングを少しずつ遅くしていくと、違和感は少なくなっていくはずです。
いつものタイミングでアクションを行ってください。今までとは感覚が違うはずです。
一番インジケーターOリングが動かなくなったタイミングが最善に近いタイミングです。
今回はフロントサスペンションを中心にお話していますが、ブレーキングを含め、バイクをコントロールする全てのアクションに該当するお話。
基礎ができているのなら、タイミングが少しだけベストよりも遅れているだけなのです。