今一度、エアボリュ―ムスペーサーのお話を

毎年、年末がピークなのですが、今年は年が明けてからのご依頼が多くなっています。
オーバーホール依頼分の製品を分解しているとエアボリュ―ムと空気圧設定で悩まれている様子が見受けられるため、切り口を変えてアドバイスを。
空気は容量が大きくなると圧縮しやすくなります。逆に容量が小さくなると圧縮し難くなります。また最初は圧縮し易くても、圧縮するにつれて、どんどん圧縮し難くなって行きます。エアスプリングは、この特性を利用しています。足したスペーサーの容量分だけ、空気室の容量は減少しますし、抜いたスペーサーの容量分だけ、空気室の容量は増加します。
グラフをご覧ください。ストロークの中盤から容量の変化による影響が大きくなっていきます。このグラフでは表現できていませんが、同じストローク量であっても、容量が大きければ大きいほど、そのストローク量までの時間が短くなります。違う言葉で表現すればスペーサーの数が多いほど、ストロークし難くなるため、同じ大きさの入力であれば、ストローク量が減ります。感覚でいうところの踏ん張りを体感することができます。
サグの規定量は必ず確保するようにしてください。ストロークし易いからといって、空気圧を上げ、サグの量を減らすのはお止めください。この場合はスペーサーを足してください。同様にストロークし難いからといってサグの量を無視して空気圧を下げるのもNGです。スペーサーを抜くようにしてください。
減衰側とは異なり、エアボリュ―ムによる調整は副作用が発生します。スペーサーを足せば、圧縮後の反発力が強くなります。減衰設定としては高速側のリバウンド設定を足すようにしてください。スペーサーを抜いた場合は高速側のリバウンド設定を弱くしてください。
サグの規定量をきちんと守って頂いても、セッティングの幅は十分に確保できているはず。スペーサーを足しているのにも関わらず、高速側コンプレッションを最弱に近いに設定をすることは間違っていますよ。

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