36 GRIPのオイル滲み

基本的にロックアウトはダンパー内のオイルの移動を止めることによって行われます。
36 GRIPの場合、32及び34よりも想定している速度領域が高めになっています。
ロックアウトしたまま山を下ってしまった際に大きな衝撃が入力されるとダンパーシャフトに取り付けられたリバウンドニードルを伝ってオイルが外に出ます。そのオイルはリバウンド調整ノブで受け止められ、ノブを保護しているキャップ内に溜まりますから直接外部に出ることはありません。
これはセーフティバルブ的な働きであり、高速側コンプレッションの仕事で処理しきれなくなったオイルを一時的に逃がしています。これが機能しないと高速側のコンプレッション回路に取り付けられたバルブリーフなどが破損します。
リバウンドニードルに取り付けられたOリングは、取り付けられる部分の外径に対して通常よりも大きなサイズのもの。フローティング状態になっており、上下に動く余裕があります。そのOリングが圧力によって変形することによってオイルを逃がしているのですが、正しく使用されていれば、ダンパー内の圧力は表面張力とシール性能を打ち負かしてしまう程、高くならないためオイルが漏れ出すことはありません。
Oリングが破損していなければ、一時的なオイル漏れですから、ダンパーロッド内に溜まったオイルが出きってしまえば、オイルが滲んでくることはありません。

またGRIP系のダンパーはストロークすると自動的にエア抜きされる構造になっており、上部に空気の混じったオイルがインナーチューブ内部に排出される穴が開けられています。ダンパーのアッパー部分にはオイルは入っていない構造です。そのため長時間フォークを横にした状態で放置すると、空気がダンパー内に入り込むため、しばらくロックアウトが効かなくなります。そのまま正立の状態で放置、数回ストロークさせれば、ロックアウトの機能は回復します。

いずれの状態も故障ではありませんので、ご安心を。

土曜日はお預かりした作業依頼品を。日曜日は上記の問題があったフォークを分解、異常がないことの確認と再組み立て、前日の土曜日に到着した作業依頼品を行いました。作業ができる程度ですのでご安心を。御心配おかけして申し訳ありませんでした。

*FOXはロックアウトではありませんが、ここではわかりやすくロックアウトという表現を使用いたしました。

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