リアは良く動いているようなのだが、フロントは半分くらい。

同じような質問と依頼があったため、こちらで説明させて頂きます。
「リアは良く動いているようなのだが、フロントは半分くらい。」
これはお電話でお受けしました。

「下りの大きなギャップ(50㎝位のジャンプ第のような所)を越えた時、前後同時のイメージで着地をすると、後の動きが大きく感じている。前後が同調している感覚にしたい。」
こちらは作業依頼時のご要望。

サグを正確に設定しているのなら、これでOKなのです。なだらかな坂や平地で、腰を浮かせ、後ろに引いた状態で、水平にしたペダルを膝で押し込んで前後が同調した動きをしているのなら上記の状態になります。これが今のMTBのサスペンションの動きなのです。
寝かせたフォークはストロークし難い。逆に後ろはストラット(直押し)であろうが、リンク式であろうが初期に動きやすい構造になっています。一番の理由は安全の確保。下りにおいて、『感覚ではなく』リアルに前後の動きを同調させてしまうと前転します。

多分、皆さん最初に思いつく解決策はエアボリュ―ムスペーサーを足してスプリング特性を変更する方法。これには落し穴があります。スプリング特性の右肩上がりのグラフの勾配が急になるため、確かにストローク量は減りますが反発力は強くなります。サグ出しをして、ボトムアウトしていないのなら、エアボリュ―ムスペーサーは足すべきではないというのが一般的な結論。理由は、そのバイクに設定されている本来の性能を引き出せなくなるからです。

『感覚的に』同調させたいのなら減衰のコンプレッションの調整をしてください。
コンプレッションの役目を思い出してください。ストロークスピードを調整することによってイメージする感覚的な動きに合わせて頂くことが正解。

特にストラット形式はストロークし易くなっていますから、メーカーが想定しているライダーの実力よりも速くバイクを走らせることができる方は、外側からの調整だけでなく内部のバルブリーフの設定を変更する必要があるケースもあります。同様にリアサスユニットを交換した場合も内部設定を変更した方が良い場合もあります。

以前の「フロントが使い切れない」というお悩みのアップデート版的な感じですね。