2021年以降のGRIP2について

2019年に登場したGRIP2ダンパー。外見は変化していないのですが、2021年モデルからは高速側のコンプレッションと同じく高速側のリバウンドにVVC(バリアブル・バルブ・コントロール)が追加されています。その機能をわかりやすくお話します。
減衰はピストンに設けられたオイルの通路をバルブリーフ(ステンレス製の円形の薄い板)で塞ぎ、ストロークする際ダンパー内を移動するオイルがバルブリーフを押し上げながら通過することによって生み出されています。オイルの流れる量を調整することによって低速側減衰の強弱が生まれます。ストローク全域での減衰を強くしたいのなら、蓋(バルブリーフ)を押し上げ難い状態にします。バルブリーフの厚みを変えたり、バルブリーフの枚数を増やしたりする手法を使います。VVCは減衰を発生させるバルブリーフを直接押さえ、その圧力を変化させることによって開きにくくする度合いを調整できるようにしています。火にかけたお鍋が吹きこぼれない様、蓋を使って手で抑えるようなイメージ。本来はバルブリーフの厚みや枚数を変えるためにダンパーを分解しなければならないのですが、ダンパーの外からバルブリーフを押さえる力を変えることができるため、手間をかけずに同じような効果が得られるようになっています。分解することなく手軽にカスタムチューンができるわけです。

2021年以降、スプリングサイドのエアピストンアッセンブリーも変わり、ネガティブ側の容量が増え、重心移動に対してビビットに反応できるようになっています。

外観的にはブレースのデザイン、クラウン、内圧を逃がすブリーダーなども変化していますが、別売のフェンダーがとりつけられるようになったことも特筆すべき点であると思います。technology-3638-grip2.jpg