GRIP2の設定

今日のお話は悩ましいと思いますが、何度も読んで頂くことによって、整理することができると思います。
間違いなくGRIP2を使いこなす上での重要な指針となるはずです。

GRIP2のHSC(ハイスピードコンプレッション)とHSR(ハイスピードリバウンド)を体感によって調整しようとするのには相当なスキルが必要になります。LSC(ロースピードコンプレッション)とLSR(ロースピードリバウンド)はストロークする際に移動するオイルの流量を、通路の大きさを変えることによってコントロールしていますから体感しやすいのですが、HSCとHSRはオイルの通路を開くタイミングを調整することによって変化させています。

ジャンプの着地などで速いスピードで急激にフロントフォークを沈み込ませるとハンドル位置が下がります。圧縮されたエアスプリングは一気に戻ろうとします。今度はハンドルの位置が急激に高くなるわけですから、相当な腕力で抑え込まなければ、バイクから飛ばされます。HSCが効いていれば、圧縮側ストロークのスピードを抑えることができます。またHSRが効いていれば、伸び側のスピードを抑えることができるため、バイクの姿勢を安定させるための労力や時間を削減することができます。

オーバーホールの際、HSCもHSRも左回りに一杯に緩めた状態にして、体感しやすいLSCもLSRを調整しているケースをよく見かけます。
HSCとHSRが最弱の状態になっているわけですから、直ぐにオイル通路が開いてしまいます。そうするとLSCとLSRの調整によって狭くなった通路を利用するオイルの他に、HSCとHSR側の通路を使うオイルの流れが生じるため、体感で調整しようとするとLSCもLSRも強めにかけてしまうことになります。

HSCとHSRを正しく設定することができれば、同じ体感であってもLSCとLSRの設定を弱めることができるのです。オイル通路を大きな状態で使うことができますから、フォークの即応性を高めることが可能になります。

正しい状態を知らない状態でHSCとHSRを体感で正しく設定するのは至難の技。初めての土地で地図なしで目的地を探すようなもの。まずはマニュアルにある設定値をご利用ください。ここで一般的な設定を知ることによって微調整による変化を体感できるようになるはずです。

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