ダンパーが緩んでくる?初めて聞きました。

オーバーホール後に返却させて頂いたフォーク。
「5月18日にフロントサスペンションをオーバーホールに出して頂いたお客様より、富士見パノラマでの走行後に右のダイヤル部ごと緩んでいたと連絡がありました。」

ダンパーカートリッジの取り付けは、指で回していくとダンパーカートリッジに取り付けられているOリングがインナーチューブ内側に当たるため、力を入れないと回らなくなります。
その状態からトルクレンチを使って締め付けを行っています。またGRIP2ですから、万が一締め付け忘れていた場合には設定時に緩みに気が付かれるはず。
取り敢えず、お送り頂いて確認することとしました。
空気を抜き、エアバルブのついたトップキャップを回すと手ごたえなく緩んできました。通常は加圧されていますから、内側から押されていますから緩んでくることは考えられません。しかしエアスプリング側も緩んでいたようです。

「OH前にもこの症状は出ており、都度締めていたのですが、今回はOH直後なので油断していたと言っていました。」

ダンパーカートリッジ、締め付けてあれば緩んでくることはまずありません。
お客様にご納得いただけるよう、ご要望通り、無償で再度のオーバーホールを行い、間違いなく28.3N/mで締め付けを行いました。

さて謎解きの時間です。
これで緩んでくるようなら写真のグラインダーによる加工が問題となります。またこのフォークは塗装されています。
フェンダーを取り付ける上で干渉するボトムケースの一番力のかかる部分を削ってしまっています。今のCADによる設計は無駄な部分は一切ありません。削ってしまうと極端に剛性が低下します。ヨレによって緩んでしまったと考えるのが妥当かと存じます。またインナーチューブには大きな傷はありませんが、ダンパーサイドのダストワイパーが既にオイル滲みを起こしていました。
新品のダストワイパーの取り付け、規定トルクでの締め付けを行った上で、返却させて頂きます。これで緩んだり、オイルが滲んでしまったりした場合には、この加工が原因とお考え下さい。

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