機材スポーツであることをお忘れなく。

フルサスペンションバイク、同じコースにおける、あなたの走行タイムの限界はセッティングに左右されます。

絶対的なタイムの速さはペダリングで前に進む乗り物のため、体力やスキルに左右されることは間違いありませんが、ここを混同してしまうとレベルアップが困難になります。精神論では世界に通用しません。

他のスポーツでは10代の選手の活躍が目立ちますが、少なくともMTBはバイクの使いこなしに経験が必要なため、表彰台の平均年齢が一気に下がったり、突然彗星の如く有望新人が現れたりすることが難しいことはご存知の通りであると存じます。ハードテイルでも構いません。同じ方が26インチ、27.5インチ、29インチでXCコースを走れば、必ずタイムの違いが表れます。この事実がMTBは機材スポーツであるという証明に他なりません。使いこなしにも時間を使って頂きたいのです。

サスペンションは正しいプロシージャで設定を行うと最大限の性能を発揮するように設計されています。「突き上げ感」などの問題が発生した場合、それを解決するためにサスペンションの設定変更を行います。正しく問題に対処できていれば、発生していた同じ走行タイムではバイクが安定し余裕が生じます。当然スピードを上げることができるためタイムを向上させることができますが、更に新しい問題が生じてきます。それは「設定変更によって対応できる問題なのか」、「タイミングの違いなどのスキルに関するライダー自身が解決する性質のものなのか」と分けて考えることが重要です。原因を究明し正しく対応することで更にタイムの向上を図っていきます。
今よりも速く走りたいと考えても、サスペンションの性能を引き出せない設定でバランスさせてしまっていると、それ以上のスピードアップはリスクが高くなるだけで不可能なケースが多い例をたくさん見てきています。

コースやスピードに慣れることも重要なのですが、日本人ライダーのレベルでは、まだサスペンションを限界まで使いこなすことができていないことも現実。とにかく世界で通用する速さを実現するためには何が障害となっているのか、正しく細かく分類し、それぞれ個別の対応策を考えていくプロセスが必要と考えます。

「常用するスピードにおいて問題が発生していないから私には関係ない」と思われた方、もっと緊張感がなくなり、ハンドルに振動が来ない、より快適な設定があるかもしれませんよ。
正しいサグ量を設定することが、道に迷うことがない正しいスタート位置であることをご承知おきください。