GRIP 2 リバウンドの設定
先日のコンプレッションの話に続きとなるリバウンドのお話です。
長いストロークを有するフォークの場合、動きやすいセッティングにするためにはLSR(Low Speed Rebound)の設定も重要になります。
構造からお話しすると、ダンパーシャフトの先端にはピストンが取り付けられており、そのピストンにはコンプレッションのベースとなる基本的な性格をデザインしているチェックバルブとHSR(High Speed Rebound)の機構が取り付けられています。衝撃の入力があるとダンパーシャフトがダンパーカートリッジの内部に入っていきます。オイルの動く通路がなければ、ピストンは移動することができません。ダンパーが縮む際には圧によってチェックバルブ(スプリングで押さえられた側の3枚のバルブリーフ)が持ち上がり、通路が出現します。その他に赤い線で描いたラインでもオイルが移動します。この赤い線はLSRの回路でもあるのですが、縮む際には単なるオイルの通路の役目をします。ニードル(先端が円錐状になったシャフト)がLSRのノブの操作によって上下し、右上側に位置している穴から出入りするオイルの通路の大きさを変えます。伸びる際にはオイルの流れは逆方向になります。オイルの通路を共用しているため、LSRのノブを締め込むと副作用でLSCが発生することになります。つまりLSRも弱めに設定するとスムースにフォークを圧縮することができるのです。
実はこの現象、長いストロークフォークにとっては福音でもあるのです。減衰はフォークをストロークするスピードをコントロールするものです。距離×力に置き換えれば、わかりやすいと思います。減衰設定(力)が弱くてもストローク(距離)が長ければ、問題は発生しないのです。ただ設定上のコツがあり、LSRを弱めに設定した場合、その設定を維持するためには、別回路でオイルを流してしまうHSRを強めに設定し作動タイミングを遅らせる必要があります。