リアが跳ね上げられる理由

・低速側のコンプレッションはオイルの流量制限を行っている。
・減衰はストロークするスピードをコントロールしている。
・肘、膝など体をしなやかに使うことによってストロークを減らすことができる。
・重心位置の移動によって車体を安定させる。
・トラクションをかけるためには後輪の接地時間を長くする。
・車体を安定させるためには両輪の接地が重要。
・あらゆる面で一番効率が高いのは接地面に対し垂直にタイヤが接地している状態。

というお話は以前にもお伝えしています。今日はその結びつけをしてみましょう。

路面から入力される衝撃のスピードが、サスペンションのストロークスピードよりも速ければ、ストロークが間に合わなくなります。間に合わなければ、リジットバイクと似た動きになります。フロントなら肘を使って衝撃を緩和しながら抑え込もうとしますし、リアなら膝を使いながら後輪への荷重を増やします。それでも十分ではないと車体が浮き上がることになります。これが速い人たちの典型的なリアの跳ね上がりなのです。

どうすればいいのか。サスペンションを動かすことで対処することになります。低速側のコンプレッションを落しオイルの流量を上げ、ストロークさせる。サスペンションを素早く元に戻すために低速側のリバウンドを落します。(状況によって選択肢はかわります。)
この段落だけで、「速く走るためにはサスを硬く設定する」ということが絶対的に正しいわけではないということがご理解頂けるかと思います。結論からお話すると、走行スピードに見合った硬さ(ストロークスピード)に設定することが正解なのです。ブレーキの効率も上がります。

ワールドカップレベルの話になりますが、比較的小柄で体重の軽い日本人ライダーはサスを硬く設定できる限界が欧米のトップライダーと比較すると低くなります。その部分は体を使った技術で対応するしかありません。ストローク中盤までは体を使ってストローク量を抑える技術が必要になります。またペダリングの重要性が極めて高くなります。踏めるところでは瞬時に正しいギア比を選択、ぶん回すスキルも必要になります。

一般レベルに話を戻します。腕にくるのならストロークさせて下さい。正確にサグを設定してあり、エアボリュ―ムスペーサーが適正であれば、高速側のコンプレッションを調整するだけでボトムは避けることができます。高速側を締めていくことで、一定のスピードでストロークしていく距離を延ばすことができます。高速側は入力に応じて、そのエネルギーを消費しながら通路を開きますが、その開くタイミングを高速側の調整によって遅らせるわけです。

最後まで読んで頂いた方へのおまけ。
箇条書きの部分、速く走るためのヒントだったりします。
だいたい長文の話を書く時は、作業が立て込んでいる時。生産的な現実逃避。
月曜日の時点で土日の作業が必要な混み具合です。

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