リバウンドの仕事のわかりやすい例を2つ。

ジャンプの着地など急激にサスペンションが沈み込んだ時、縮められたスプリングが一気に伸びてしまうと、ライダーの姿勢が大きく崩れます。これを防ぐためにも高速側のリバウンドが必要になります。調整できるモデルの高速側は、戻ろうとする力に対して、どれくらいの入力でバルブリーフを開かせるのかを調整します。

フロントサスで実際に体感してみましょう。高速側リバウンドの調整ノブを最大まで緩め(左回り・反時計回り)、低速側を一杯まで締め込み(右回り・時計回り)、ハンドルを押し込んでください。このハンドルを押し込む動作は、サスペンションにとってジャンプの着地と同じで高速側リバウンドが最初から仕事をすることになります。そのため高速側を一杯に緩めてあると、バルブリーフが開きやすくなり、低速側ノブを締め込むことでオイルの流量を制限していても、高速側のバルブリーフが簡単に開いてしまうため、リバウンドが効いていない状態に感じるはずです。高速側を締めていくと、ハンドルを下に向かって押せば、リバウンドの効果を体感することができます。

もう一つは接地感です。コーナーなどで前輪がしっかりと地面を捉えている感覚ですね。もう少し接地感を生み出すメカニズムを分解してみましょう。大切な要素としてサグ、低速側コンプレッション、低速側リバウンドがあります。
結論からお話します。文章にすると当たり前なのですが、接地感は路面の状況に対して正しくサスペンションが機能していることによって生み出されます。タイヤが路面にきちんと追従することができているか、どうかなのです。
オフロードでは完全にフラットな路面はまず存在しません。細かな凹凸に対して正しく縮み、正しく伸びることが接地感を生み出します。そのためにはまず正しいサグが必要なのは言うまでもありません。低速側のコンプレッションを緩めれば緩める程、サスペンションは動きやすくなります。リバウンドも弱めれば弱める程、サスペンションは動きやすくなります。抵抗の少ないカシマコートのインナーチューブならば、よりヴィヴィットに反応することができます。
ただいずれも、過ぎたるは及ばざるがごとし。コンプレッションを緩め過ぎれば、連続した凹凸があると、いくらリバウンドを弱くしても路面状況に対してもサスペンションの動きは追いつかなくなります。またリバウンドを弱くし過ぎるとタイヤが路面を叩くような動きをするようになります。コンプレッションとリバウンド、いずれも、ある程度は衝撃をダンパーに吸収させ、戻るスピードを制限する必要があるのです。

通常にライディングが楽しめる設定が得られたとします。
突然の雨。路面状況が急激に悪化し接地感が得られ難い状況への対処方はどうなさいますか?
もうお分かりですね。コンプレッションを緩めることで反応性を上げ、リバウンドを強くして、サスペンションが戻る動きを抑え、滑りやすい路面に対して急激な挙動を抑えます。こうした調整機能が無い場合、サグの最大許容値まで沈み込み量を増やし反応性を上げ、スプリングの反発力を抑えます。

余談になりますが、ヘッドアングルもサスペンション機能の効率に関係してきます。効率よくフロントフォークを機能させるアングル、挙動を抑えるアングルなど、ある程度までは寝かせた方がマイルドの挙動が得られます。