Grip XとGRIP X2のメリット

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2025年モデルから採用されたGrip XとGRIP X2に共通した改良点がピストン周り。改善点をわかりやすく説明するため、継続販売されるGRIPのダンパーの絵を使って解説したいと思います。
ロースピード・リバウンドは右下のリバウンドアジャスターロッドを、リバウンドノブを回すことによってネジ山を使って上下させ、オイル吸入口の大きさを変え、ピストン先端部から排出されるオイルの流量制限をすることでピストンシャフトが戻る速さを調整しています。オイルの流量が大きければ大きいほど、ピストンシャフトの動きが速くなります。
(ピストン上側の赤い矢印がオイルの流れを表しています。ピストンの絵の上が吸入口の大きな状態、下側が小さくなった状態)

圧縮される場合には吸入口と排出口が逆転します。(下側のピストン)圧縮時にリバウンドアジャスターロッドが下がっていると排出口が小さくなってしまうため、ピストンロッドが動き難くなります。これが以前お話したリバウンドを強く設定すると、副作用でコンプレッションが強くなるという原理です。

*低速側リバウンドも低速側コンプレションもオイルの通路の大小だけではなく、バルブリーフという金属の板も使用して入力された力を減衰させ、ストロークするスピードをコントロールしています。

GRIP XとGRIP X2は完全にリバウンドとコンプレッションを分離しています。リバウンドがコンプレッションに対して干渉しないよう副作用を生じさせるピストンの先に開いている穴(赤い矢印の部分)が無い状態であるとお考え下さい。今回は割愛しますが、従来とは異なった構造になっています。

長くなりそうなので手短に今回は分離したことのメリットについてお伝えいたします。
私自身、大きな影響はないと考えていました。実際、ストローク量の小さい32の走行スピード領域では大きな問題にはなりません。それが34以上になってくると想像以上の差がありました。低速側のコンプレションの反応が格段に向上しているため、ストローク全域でスムースな動きを実現しています。分離されていた仕事がまとめられるため、仕事の質と量が向上している印象を受けました。手に伝わってくる衝撃が緩和され、接地感がストレートに伝わってきます。知らなければ、GRIP2で十分満足できるのですが、一度使ってしまうと後には戻れない感じに仕上がっています。