38 GRIP2のカートリッジ

相変わらずオーバーホールの依頼が多く、今日も数件到着している状況です。事情説明を確認して頂くための記事ですが、重要なことが複数含まれている件ですので是非ご参考に。

38 GRIP2のカートリッジ
カートリッジ内にはオイルなし、紛失したであろう部品も入っていませんでした。
「ダンパーカートリッジ破損のため」という依頼。
電話で確認、OHをしようとしたところダンパーカートリッジが破損していたというお話でした。

オーバーホールをしようとした時点までは正常に動いていたはず。壊れているのなら今回のように弊社に連絡があるはず。

ダンパーの上の部分がバラバラになってしまったのは、お客様の作業が原因。
カートリッジをクランプする位置が悪かった
以前、販売店さんが同じことをされた際、アップいたしましたが、再度ご説明を。
コンプレッション機能が搭載されたダンパーの上部(トップキャップアッシー)とダンパーシャフトが締結されている部品をプレッシャーチューブと呼びます。トップキャップアッシーのネジ止めされている箇所をプレッシャーチューブの外側からクランプして、緩めてしまえばバラバラになります。

またカートリッジのプレッシャーチューブを万力に固定する際には、クランプする治具とプレッシャーチューブがクランプされる面の脱脂をしっかりと行ってください。脱脂が十分でないと、クランプしていても緩めようとした際にカートリッジが緩める方向に回転します。回転を防ぐために万力を更に締め付けるとプレッシャーチューブが凹みます。

写真をご覧頂ければ、お分かりになると思いますが、クランプ痕がしっかり残っています。
このプレシャーチューブは再使用できない程、ぼこぼこに変形しています。

ダンパーシャフト側は折損しているようですが、折損した部分がカートリッジ内部に残っていなかったため原因を特定することはできません。
エアピストンはネガティブ側にエアが入り込んでいる状態で空気を抜くと目一杯縮まってしまう状態。こうなる原因は機械的に正しくないダンパー設定。この件については後日詳しく説明したいと存じます。

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