フロントフォークの設定

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恵まれた体格の方からフロントフォークの設定についての質問を頂きましたので。
真ん中部分は普遍的なお話ですので70㎏前後の方も是非ご一読を。

70㎏前後であれば、ボリュームスペーサーの増減は必要ありません。
90㎏あたりの方が標準設定からボリュームスペーサーを抜いてしまうと、コンプレッション側の設定で逃げることは不可能です。想定されている減衰設定よりも過剰な性能を要求することになり、ストロークするスピードに対して十分な減速ができないため、ピストンに取り付けられたメインのQリングが瞬間的に耐えきれなくなり、ネガティブ側にエアが流れてしまうことになります。
エアボリュ―ムを使うことはエアスプリングの特性を変えること。コイルスプリングで言うところのバネレートの変更なのです。体重に対し適正なエアボリュ―ム設定が重要なのです。
70㎏あたりで、柔らかいと感じているのならコンプレッションの設定で改善することができます。LOW側とHIGH側の設定バランスが重要で、GRIP2やGRIP X2ならば、まずLOW側10クリック戻し、HIGH側5クリック戻しを体感してみて下さい。
ペダリング時に動き過ぎると感じたのなら、ストローク全域での動きを抑制する必要があります。この場合はまずLOW側を1クリック締め込んでください。全域でオイルの通路が狭くなりますからストロークを抑制することができます。
逆にもっと動いてほしいのならLOW側を1クリック緩めて下さい。
HIGH側は、LOW側で設定したストローク時のオイルの流量をどの程度まで保持するのかを決定する役目を担っています。保持できる限界が来た時、高速側のバルブリーフを開くことでエネルギー変換を行ってストロークスピードを減速させます。
つまりLOW側を目一杯締め込んでいても、HIGH側設定の限界を超えた時点でストロークし始めてしまうことになります。逆にLOW側を一杯まで緩めてある状態で、HIGH側を締め込んでもLOW側で設定した流量を保持し続けるわけですから変化が感じられないわけです。
コンプレッションのHIGH側調整は流量保持をすることによって踏ん張り感を加減する役割を担っています。踏ん張ってほしいのなら1クリック締め込んでください。中盤以降でもう少しストロークが欲しいのなら1クリック緩めて下さい。
体重が90㎏を越えている方がボリュームスペーサーを抜いてHIGH側を2クリック戻しの設定をすることは正しくない。何となくおわかりですよね?

余談:力を入れ、ハンドルを一気に何度も押してフロントフォークのストローク感を確かめますよね?
最近のフォークはビビットに反応することができるようになったため、コンプレッションの回路もリバウンドの回路も高速側のコンプレッション回路が開いてしまうため、正確なストローク感を判断することが難しくなっています。