オーバーホールは新品にできる作業ではありません。

フレーム、使用による劣化は避けられません。クラックが入らなくても、子どもの頃に曲げ伸ばしを繰り返して針金を切断する遊びをしたことがあるのでは？
フルサスの場合、リアセクションの劣化が早く、カッティーズなどのアクションは間違いなく大きな負担となっています。リアトライアングルを新品に交換した経験のある方はお分かりになるかと思いますが、乗り味がソリッドになり新品に近い状態になります。柔らかくなる感じに近く、実際に同じ負荷であっても変形量が多くなります。

ストロークを繰り返せば、地球上に存在する全ての油圧式ダンパーは僅かであっても必ずエア噛みを起こします。自動車＞モーターサイクル＞自転車、負担重量が少なくなればなるほど摺動部の抵抗を抑制する必要があるため、エア噛みを起こしやすくなっています。

リンクを介したりしますが、リアユニットはフロントとリアを結び付ける役目を果たしています。図の赤い枠で囲った拡大した部分が結び付けているポイントになります。ダンパーシャフトが貫通するベアリング。ダンパーシャフトがストロークするのを保持しているところ。ベアリングに保持されたOリングやQリングでシールしているのですが、負荷がかかりながらストロークすると、侵入の機会を窺っているエアスリーブ内の加圧された空気がその目的を達成してしまうことになります。
経年劣化の影響を受けたリアトライアングルは負荷による変形量が大きくなっているため、エア噛みを起こしやすいことを覚えておいてください。ベアリング部分などの摩耗がありますから、オーバーホールをしても新品と同様の耐久性を得ることはできないため、メンテナンスサイクルは短くなっていきます。